メンタルクリニックで得た希望とは?適応障害者が健康な時には感じなかった気持ち

適応障害の実話

はじめに

以前に記載した「こうして私は適応障害になった」のタイトル通り、私は適応障害となりました。

【SE 適応障害】こうして私は適応障害になった。女SEの本音。
はじめに私がどうやって適応障害になったのか、言える範囲で詳細に残しておきます。はじめに理解していただきたいのですが、私は適応障害になったことを恨んだりはしていません。誰かが悪いわけでもありません。例えば、この記事を読み進め、適応障...

初めてメンタルクリニックを受診し、適応障害と診断された時の体験記です。
特に何か大きな出来事があったわけではありません。
こんな患者やメンタルクリニックもあるよ、という参考になれば幸いです。

受診するきっかけ

開発SE(プログラムを作成する人)として業務に追われる日々を過ごすうちに、私は不眠や気分が滅入る、自死について考えるなど、精神的に追いつめられていました。

もうこれ以上働きたくない、開発をしたくない、休みたい。

しかし、「疲れました」の言葉だけで急に休職に入れるとは思えなかった為、とにかく病院を受診しようと考えました。受診したという事実があれば、仮に病名を診断されずに診断書をもらえなかったとしても、休職したいと会社に言い出しやすいと思ったのです。

とにかく休む為の正当な理由が欲しい。その一心でメンタルクリニックを受診しました。


待合室でみた沢山の受診者

立地が駅前ということもあり、受診者が多く、言い方はあれですが、儲かっているのでしょうか。メンタルクリニックに入ると、そこはまるでちょっとした空港ラウンジのように、おしゃれでゆったりとした待合室が広がっていました。

しかし、そのゆったりとした空間の席全てに人が座っていました。受診したのは平日。それにも関わらずこれだけ人がいることに、とても驚きました。

これだけの人が心を病んでいるなんて。

中には待合室でパソコンを開いて仕事をしているスーツ姿の男性もいました。はじめは誰かの付き添いかと思いましたが、「○○さん、1番のお部屋へどうぞ」と呼ばれて診察室へ行きましたので、受診者なのでしょう。

心を病んでいても、それでも働く。

その姿を見て、休みたいと願っている私と比較し、何とも言えない気持ちになりました。どちらが正しいとも思いませんが、これが社会。と現実を突きつけられたように感じます。

受付で問診票を記載する

初めての受診なので、問診票を記載しました。

問診票の「現在の状況、受診のきっかけ」の欄に、要約すると「自死について深く考えるようになり、このままでは危ないと思い受診した」と言う内容を記載しましたが、後から見返すと、かなりヤバい内容でしたので、自分がいかにギリギリの状態だったのかがよくわかります。

もはや遺書ととらえられてもおかしくない内容。ちょっと友人には見せられません笑。

1つ気になったのが、内科や外科などの問診票と違い、家族構成や家族の職業、病歴を記載する欄があったことです。

心が病む理由は人それぞれ。家族に起因する人もいるのでしょう。もしかしたら遺伝的な原因もあるのかもしれません。精神科だと、家族の事まで把握してくれるのか。こちらを理解しようとしてくれる姿勢に、少し嬉しく感じました。

私には経済的に頼れる身内がいません。家族情報の欄を書きながら、「私に両親と実家があれば、金銭的な心配もなく、気兼ねなく療養できたのかな…」なんて、どうにもならない考えを巡らせました。本当、どうにもならないんですけどね。


先生に診てもらう

しばらく待ち、診察室へと呼ばれました。初めての精神科受診です。

先生は40代くらいの男性でした。

まず、現在の状況について説明をしました。仕事に追いつめられていること、不眠であること、仕事への意欲がないこと。先生は「うんうん」と頷きながら、カルテへ内容を書きとっていきます。

そして、先生からいくつか質問をされました。覚えている内容は以下になります。

最近、笑えているか

これには「あまり…」と答えました。テレワークという環境なので職場の人ともあまり話しておらず、精神的に友人とも連絡をとれる余裕がありません。テレビや映画など、娯楽にも興味が薄れている状態でしたので、「そういえば最近笑っていない」ということに気づかされました。

相談できる友達がいるか

これには「はい」と答えました。ただ、このころは心に余裕がなかったため、友人とは殆ど連絡をとっていませんでしたが。「そういう友達は大切にしなさい」と先生はおっしゃいました。おそらく精神病をきっかけに友人と疎遠になる人もいるのかもしれません。それを見越しての忠告なのかもしれませんね。

自分で自分をどんな性格だと思うか

これには「明るくてよく喋る」と答えました。自分で言うのも何ですが、事実、私はよく喋る人間です。精神的に病んでいても、仕事のWEB会議などでも明るく努めていました。が、先生の前で頑張れる気力は0。死人のような状態の私から放たれた言葉に「あら、そうなのね~」と先生は意外そうな反応を示しました。

自傷行為をしているか

これには「いいえ」と答えました。自傷行為をする前に病院に診てもらいたい、というのも精神科を受診した理由の一つです。「自分を傷つけちゃだめ。やっちゃだめだからね。自分を大切にしてね。」とおっしゃった先生の言葉は、この先もお守りにしようと思います。

ちなみに、ちょっと話がそれますが、先生について少し。「うんうん、そうなのね~」「大変ね~」と、語尾を柔らかくするよう意識してくれている事もあり、優し気な印象を受けます。ただし、めちゃくちゃ早口w

きちんと聞くべきことを聞いてくれているので、診察内容は申し分ありません。ただ、駅前のクリニックということもあり、回転率をあげていかないと診察が追いつかないのでしょう。「めちゃくちゃ高速で喋る、仕事のできるオネエ先生」が私の担当医です☆

私はゆっくり自分の話をしたいという訳ではありませんし、むしろ要点を押さえて的確に話を聞いてくれるので、良い先生に出会えたと思っています。
これからもお世話になります_(._.)_


適応障害と診断される

色々と問診を受けた後、先生から「適応障害の症状がでています」と言われました。

なんとなくそんな気がしていたので、あまりショックは受けませんでした。ただ、私の精神は正常ではない、という事実がはっきりとしたので、少しだけショックではありましたが。

仕事を休みたい旨を相談すると、「抑うつ症状がでているため、1ヶ月の休養を要する」旨の診断書を記載してくれました。その診断書をみて、私は心底ほっとしました。医師の診断書を提出された会社は、従業員に対して休職を取らせるなど、なにかしらの対応をしなければならないからです。

これで休める。開発から離れられる。

診断書を出されて嬉しいなんてこと、心が健康だった頃には想像もつきませんでした。

一度、精神病と診断されれば、社会から健全者と平等に扱ってもらえなくなる。就職にも不利になるし、生命保険にもしばらく入れない。ローンも組めないかもしれない。あらゆる不平等がのしかかることは明白です。

健康だった頃は、「うつ」になることが本当に怖かった。
できればなりたくない病気だった。

けれど、まぎれもなくその診断書は「今」の私を救ってくれる。
崖っぷちに立っていて、いつ命が粉々に砕けるかもわからない「今」の私を救ってくれる。

ただそれだけで充分でした。
遠い未来の心配をできる余裕なんて、ありませんでしたから。

先生いわく、適応障害とうつ病は別物。ちゃんと治療していけば適応障害は改善する病気なので、しっかりと薬を飲んで、定期的に通院してくださいね。と話がありました。

ゆっくり休めば、元気だったあの頃に戻れるのかもしれない。
何の心配もなく、また笑える日がくるのかもしれない。

その希望を胸に、私は診察室を後にしました。


さいごに

以上が私が初めてメンタルクリニックを受診した体験記になります。

この後、診断書を会社に提出し、休職に入りました。

私は先生に診てもらえたことで、「現状を理解してくれている人がいる」という安心感を得ました。病院に行く前と後では、気の持ちようが全く違います。診察後は随分と心が軽くなりました。病院に行ってよかったと、心から思います。

くれぐれも誤解しないでいただきたいのが、心が疲れたらすぐに精神科に行け、ということを推奨しているわけではありません。もちろん、体まで壊す前に受診するべきではあります。が、精神病と診断されると社会的立場が不利になります。

病院に行かずに、ゆっくり休むことができるのであれば、それに越したことはないと思うのです。

もしも周りに相談できる相手がいて、心の余裕があるのであれば、まずは話してみるのも良いでしょう。理解者がいるだけで、気が楽になるかも。そして、「だめだ!」と思ったらすぐに病院に行きましょう。

もし、これを読んでくださっているかたで、心が疲れている人がいたら、くれぐれも無理はなさらずに。ご自身を大切にして下さい。

この体験記が何かしらのお役に立てれば幸いです。

それでは、また!


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